[過去掲示板投稿] 2004年度 用品 3 GolftatプロジェクトX アマギア μ240

気まぐれゴルフ用品セミナー

[過去掲示板投稿] 2004年度 用品 3 プロジェクトX アマギア

気まX アマギア 投稿者:golftat 2004/ 9/ 4 23:28 メッセージ: 316 これは shankshank57 さんの 315 に対する返信です

シャンクさん、みなさん、どーも復活TATです。

競技の方がぱっとしないので(泣)、用品ネタ行きまーす。

さて、第1回は、アマギア

私の投稿ではあんまり話題に上がらないメーカーですが、これは、師匠のショップが、代理店でないからで、製品そのものは、師匠も私も高く評価しています。高いから買ってないですけど(笑)

とくに、皆さんも思っているでしょうが、メーカーコンセプトがすばらしい。

で、このコンセプトはどこから来たんでしょう?

気まXはこの後すぐ!!

気まX アマギア μ240の巻1 投稿者:golftat 2004/ 9/ 4 23:31 メッセージ: 317 これは golftat さんの 316 に対する返信です

気まゴ プロジェクトX  アマギア μ240の巻

この投稿は、筆者の創作であり、類推されるメーカーとは一切関係がありません。

@1985年関東某所 ヨコヤマゴム役員会議

役員A「では、次の議題に入ります。ゴルフ。」
全員 「・・・」(ざわざわ)
役員B「やはり、素人集団じゃ無理か?」
役員C「あれ、やめるか・・・・」

事業に参入して3年目。業績の上がらないゴルフ事業に会社役員たちの苛立ちは頂点に達していた・・・

@1985年 関東某所 アマギア商品企画室

クラブデザイナーのTは、ニュードライバーの商品企画会議に参画した。
Tは、社外コンサルタントとして、ゴルフ事業立ち上げ当初より、アマギアの作品に携ってきた。今日のアマギアがあるのは、「素人集団」の開発スタッフにゴルフクラブのイロハを指導した彼の業績によるところが大きい。

全員「Tさん、いらっしゃい。よろしくお願いします。今、実験データを皆で見てたんですよ。」

T「データ?」

20年前。「ドライバーは、パーシモンでないとマスターズに勝てない」というジンクスが破られる、さらに10年も前である。

A「いろんなパターンの弾道をシュミレーションしてみたんですが。面白いことが判ってきたんですよ。」

B「この弾道が一番飛んでるね。回転数2400rpm」

当時は、低く出て、グーンと舞い上がる「プロ球」が、良いとされていたのだが、

C「スピンは、多いほど良いんじゃないのか?」

A「そういうのは、実は、効率が悪いんですよ。仰角を変えれば、スピンは、今ほど必要ないって事が分かってきた。」

繰り返すが、20年前の話である。 <注記 2020-03-13:2004年の20年前>

B「スピンを減らせば飛ぶのか?  ていうか要するに、この弾道に近い球が打てるようなドライバーを設計すればいいんだな。数値モデル上でパラメタの操作・・・こりゃ、物理の問題だね。」

当時は、プロの意見を職人がカタチとしてクラブに反映させるのが、普通の開発手法だった。

A「ゴルフは物理ですよ。」

T「・・・・」

C「で、問題はどうやってスピンを抑えるか。」

T「ちょっと待ってよ、」

Tは、話を割った。

(続く)

気まX アマギア μ240の巻2 投稿者:golftat 2004/ 9/ 8 23:45 メッセージ: 324 これは golftat さんの 317 に対する返信です

この投稿は、筆者の創作であり、類推されるメーカーとは一切関係がありません。

<前回までの続き>
20年前。パーシモン神話の時代。科学的なアプローチで、飛ぶドライバー造りに挑戦するアマギアスタッフだったが、・・・

B「スピンを減らせば飛ぶのか?  ていうか要するに、この弾道に近い球が打てるようなドライバーを設計すればいいんだな。数値モデル上でパラメタの操作・・・こりゃ、物理の問題だね。」

当時は、プロの意見を職人がカタチとしてクラブに反映させるのが、普通の開発手法だった。

A「ゴルフは物理ですよ。」

T「・・・・」

C「で、問題はどうやってスピンを抑えるか。」

T「ちょっと待ってよ、」

Tは、話を割った。

T「確かにフライヤー気味の球は飛ぶこともある。でも、それじゃ、弾道が安定しないよ。」

A,B,C「・・・」

T「それにスピン無くしたら、雨が降ったら使えないじゃない? そんなクラブ、プロや上級者は使わないよ。」

B「雨の日はどうせ飛ばないんだから、気にしなくても良いんじゃないの?」

A「別にプロに使ってもらわなくても。僕ら、後発組で、ニッチ(すき間)狙いだから(笑)。」

C「Tさん、私たちは、従来の発想にとらわれない、本当に飛ぶドライバーが作りたいんです。後発弱小メーカーだから、10人が10人、賛成してくれなくてもいい。10人に2人でも気に入ってもらればいい。 多少の欠点は目をつむって・・・」

T「でも、飛べばいいってもんじゃ・・・」

A,B「ドライバーは、飛ばないとダメなんじゃないですか? 飛べば気分いいし。FAN TO GOLF ですよ。」

T「・・・」

Tは、あきれて苦笑するしかなかった。あまりにも素人の発想だったからである。

(続く) 気まX アマギア μ240の巻3 投稿者:golftat 2004/ 9/24 20:48 メッセージ: 349 これは golftat さんの 324 に対する返信です

この投稿は、筆者の創作であり、類推されるメーカーとは一切関係がありません。

<前回までの続き>
飛ぶドライバーを作るため、スピンを減らすことを提案する開発チームに眉をひそめるTだったが、・・・

T「でも、飛べばいいってもんじゃ・・・」

A,B「ドライバーは、飛ばないとダメなんじゃないですか? 飛べば気分いいし。FAN TO GOLF ですよ。」

T「・・・」

Tは、あきれて苦笑するしかなかった。あまりにも素人の発想だったからである。

パーシモンの時代。 標準的なスピン量は3000rpm。これを2400rpmに落とせれば、球は、もっと遠くへ飛ぶ。

A,B,Cら開発スタッフは、検討の結果、スピンを抑えるために、フェースのμ、つまり摩擦係数を調節することにした。

摩擦が減れば、スピンが減る。

この突拍子もないアイデアは、しかし、タイヤ屋にとっては、日常的で、普通の発想だった。

20年前の話である。

ウッドクラブ郷愁の時代。プロは、未だ50年代のマグレガーを使い、これを現代に蘇らせたと言われるクリーブランドクラシックのパーシモンヘッドがもてはやされていた。

C「飛ばすためには、ヘッドスピードも上げないと。」

B「うん、プロたちは、球筋がどうのこうのって言うけど、結局ボールにエネルギーを与えるのは、クラブの運動量なんですから、絶対ヘッドスピードが大事。僕たちの主張は正しいですよ。」

ヘッドスピードという言葉を定着させたのはアマギアである。

アマギアは、参入当初から「ヘッドスピード理論」を打ち出し、科学的な理論に基づいたクラブ作りを目指していた。

当時のクラブは、職人の感と経験、そしてプロの意見で作られるのが普通だった。

運動量と運動エネルギーの区別がつかない人が、クラブを「設計」していた時代。(今でもか?(笑)

物理現象の数値モデル化、統計解析シュミレーション・・・アマギアは先進的な工業製品の開発手法をゴルフクラブ作りに持ち込んだ。

A「最近は、50g台でもしっかりしたシャフトが出てきたから、長くしたら。」

B「うん、その分ヘッドをデカくすれば、長くても気にならないじゃないかな?」

C「長い分、ちょっと軽くしなきゃいかんが、ウチのコンポジット(カーボン成型)技術なら出来るな。」

ヨコヤマゴムは、タイヤ事業の他に、プラント事業、航空宇宙事業なども手がける総合メーカーで、他のクラブメーカーにくらべ、圧倒的に多様な「技術の引き出し」を持っていた。

T「長尺はいいとしても、スピンを減らすためのフェースの μ 調整ってのは・・・」

この回転数2400rpmと、摩擦係数 μ は、後にそのまま商品名「μ240」となる。

(続く) 気まX アマギア μ240の巻4 投稿者:golftat 2004/ 9/28 0:53 メッセージ: 351 これは golftat さんの 349 に対する返信です

<前回までの続き>

パーシモンヘッド、43インチスチールシャフトの時代に、
長尺、低スピン設計、カーボンのデカヘッド・・・「本当に飛ぶドライバー」を目指し、革新的な技術を結集したドライバーを完成させた開発チームだったが、・・・

T「長尺はいいとしても、スピンを減らすためのフェースの μ 調整ってのは・・・」

この回転数と、摩擦係数μは、後にそのまま商品名「μ240」となる。

こうして完成した μ は、

売れなかった(笑)

売れる以前に、ショップに置いてもらえなかったことも多かった。

当時は、工芸品的なパーシモンの横でメタルウッドの数が増え始めた頃であり、チタンの人気の出る10年も前の話である。

未だ「カオの良い」プロ(使用)モデル や、本格上級者向け がよいクラブであって、真っ黒のつや消しプラスチック製のヘッドに「あばた」のある無名メーカーのクラブなどだれも見向きもしなかった。

・・・・・・

@1986年 関東某ゴルフ場

社長B「あれー、また(飛距離で)負けた。お前、最近急に飛ぶようになったな。」

社長A「へへー。実は、この秘密兵器に替えたんだよ。」

社長B「馬鹿だなあ、ゴルフは腕だって(笑)」

20年前、飛距離を道具で伸ばすことができると信じる人は少なかった。ゴルフは腕だ。だとしたら、飛距離も腕の内だ。これは歴然たる事実だ。そのはずだ。

しかし、どうしたことか飛距離では負けたことのなかったライバルが、ドライバーを替えたとたんに自分をアウトドライブしていく。

この衝撃!

同伴者の球から自分の球までの歩行を英米で「ゴールデンステップ」と言う。

ゴルフは腕だ。腕のはずだ。そのはずだ。いや、そうでなければならない。

しかし、このような古い常識も、ささやかな男のエゴも木っ端微塵に打ち砕き、ゴールデンステップを楽しむ目の前のライバル!

飛ぶドライバー。

この衝撃!

社長B「そういえばお前、クラブ変えてばっかりいるもんな。変なクラブだな。どこの? ちょっと打たせてよ。」

・・・

飛ぶ という事実。

この事実は、ゴルファーの心を捉え、ウワサは口コミで広がり、μは急激に動き出した。

(続く)

気まX アマギア μ240の巻最終回 投稿者:golftat 2004/10/ 1 21:59 メッセージ: 354 これは golftat さんの 351 に対する返信です

<前回までの続き>

飛ぶ という事実。

この事実は、ゴルファーの心を捉え、ウワサは口コミで広がり、μは急激に動き出した。

3ヵ月後、あいかわらずμに十分な広告費は割り当てられなかったが、

μに広告は要らない。

といわれるほど売れ始めた。

こうしてアマギアは、μ240の大ヒットによって、ゴルフ事業の基盤を確立した。

経済的な事業基盤よりも重要だったのは、開発スタッフの意識だった。

ゴルファーは保守的だ。伝統ブランドや、プロの言うことに弱い。
しかし、同時に、彼らは、高い知性を持ち、その道具を見る目は非常に厳格だ。
ゴルフは物理だ。科学的な事実に基づいて設計され、その理論通りの性能を発揮する高機能なクラブ。これなら、新参メーカーのクラブでも受け入れられる。

人の真似をしない。常識を疑ってみる。固定観念にとらわれない。変化を恐ず、未来のクラブ作りに挑戦する。
このコンセプトは後のタラコアイアン、ズーム、そして今日のDUOへと脈々と受け継がれる。

俺たちはやれる!

アマギアがアマギアイズムとも呼べる事業コンセプトを確立した時だった。

・・・

こうして20年前

極東で生まれた一本の奇妙なクラブをきっかけに、

パーシモンヘッドに、43インチのスチールシャフトという
1929年、スチールシャフト解禁以降、50年続いたドライバーのパラダイムが、
音を立てて崩れ始めた。

(開発スタッフに敬意を込めて・・・アマギアμ240の巻 終わり)


人気ブログランキング

コメント

タイトルとURLをコピーしました